星はあの時も美しく夜空で輝いていました。

今日ふとこんなことを思いました。今までどんな時に星を見て、どんなことを感じただろうかなと。子供の頃の夏の夜空を思い出しました。横に兄がいました。何の用事だったのか忘れましたが、母と三人で夜道を歩いていました。母が空を指さして言いました。「ほらあそこにさそり座が見えるだろう。あの頭の近くに赤い星が見えないかい?」私も兄も長いこと探しました。ほぼ同時に「あった」と言いました。他の星と確かに色が違っていました。何となくさそり座が生きているように感じたものです。他にどんな時があったかなと思うと同時に、波の音が聞こえたような気がしました。そして昔の恋人の顔が浮かんで来ました。波打ち際に並んで座った夜の星がまざまざと浮かんで来ました。オリオン座を二人で見上げたのです。白く輝く七つの星がありました。オリオン座の輝きはまるで私たちを照らすかのようでした。どうしてそう今になって感じるかと思った時、浜辺の私たちは美しいものを感じたかったのでした。風が吹いて波の音がして星が輝いていた、そして黙ってそれらを感じていた、このことをはっきり憶えています。